セブン編に登場する友人のセブンに初めて乗せてもらってから、
わずか2ヶ月後。
あの体験が背中を押したのか、
本格的にガレージ小屋の設計図を描き始めました。
木造のことは正直よく分からず、
本を参考にしながら
なんとか意匠図をまとめていく日々。
製材所に押しかけて、木材のことを教えてもらったこともありました。
同時に、
「どうやって作るか」
という現実的な部分も考え続けていました。
最終的に選んだのは、
ハーフ・セルフビルド。
自分でできるところは自分でやり、
プロに頼むところは頼むという折衷案です。
図面の“たたき台”ができたところで、
いよいよ工務店探しが始まりました。
■ 工務店探しの迷いと、ひとつの候補
ホームページやSNSを調べ、
知り合いにも聞き、
いろいろ探しました。
その中で、
以前からなんとなく気になっていた工務店がありました。
もっと前にも、何気なくホームページを見たことがある。
知り合いもそこに頼んだことがあり、
工事後も良い関係が続いているという。
「なんか良さそう。いや、良いに違いない。」
でも、
高そう。
この段階では、
“多少安っぽくてもいいから、どこか個人でやっている業者さんに頼めないか”
という気持ちもありました。
しかし、確認申請をする以上、
検査対応もしっかりしなければならない。
そして、実際に建てる段になれば、
自分ではできないことが多い。
やはり、
ちゃんとしたところに頼まなければ。
そう思い直し、
前々から気になっていた工務店に思い切って電話しました。
事情を話すと、
すぐに話を聞きに来てくださることに。
これが3月。
ここから、店長さんとの付き合いが始まります。
■ 店長さんとの出会い
若くて、背が高く、がっちりした体格。
イガグリ頭で、いかにも“現場の人”という風貌。

模型と図面を見せながら説明しました。
「この場所にクルマを停めたいんです。」
おそらく、
普通のカーポート程度を想像されていたと思います。
模型を見せても、
「……??? こんなの、できるの?」
という表情。
とりあえず話を聞いて、
「店に持ち帰って相談しますね」
という感じでした。
赤いミニカーを見せて、
「これを入れたいんです」と伝えると、
店長さんは少し驚いたような、でも楽しそうな顔をしました。

彼は、工務店の会長(お父さん)の影響で、
古いバイクに乗っていたり、車も好きだったりする。
若いのに、なんだか話が分かる人だと思いました。
とはいえ、仕事と趣味は別。
話半分くらいに聞いていたと思います。
こちらはもう“ラストチャンス”のつもりで、
必死でした。
- ここに入れたい
- 作りは割り切っている
- 200mmの隙間問題がある
- 品質は求めない
- コストダウンのため、自分でできるところは自分で施工する
そんなことを伝えたと思います。
店長さんは図面を持ち帰り、
検討してくれることになりました。
「もしかしたら、できるかもしれない」
そんな一瞬の希望が生まれました。
■ 代替案、そして“別棟案”の攻防
後日、店長さんは設計の方と二人で来てくれました。
まず提示されたのは、
もっと簡易な物にしましょう
という代替案。
「そのほうがお互いのためです」と。
こちらからは、
“リビングを潰して家の中に入れる案”
も提示しました。
すると店長さんは、
「別棟よりもやりやすいし、やりようによっては安くできる」
と、むしろ乗り気。
(でも、この案は以前書いたように断念しました。)
その後は、確認申請の進捗を見ながら、
法的に実現可能になった段階で改めて相談することに。
「なんとか、この工務店に頼みたい。」
その気持ちはずっと変わりませんでした。
そして、確認申請が下りた
7月に確認申請を提出し、
確認済証が下りたのは9月。
長かった。
でも、ホッとする時間でした。

やっと法的に建てられることが証明された。
そしてこの頃から、
店長さんとの打ち合わせが本格的に再開します。
ここから、
ガレージ小屋づくりの物語が一気に動き始めました。
無事に確認が下りてからの、長いコストダウン検討
確認申請が無事に下りたとき、
正直ほっとしました。
これで「法的に建てられる」ことが証明されたからです。
ただ同時に、
きちんとした工事をするには、予算を超えてしまうだろう
という予感もありました。
そこで、コストダウンの検討に入りました。
その内容は……【第8話】設計の話ーー“建てる前”に決めたこと、諦めたことをご覧ください。
この検討に、思った以上に時間がかかりました。
■ 見積依頼、そして現実との対面
8月末に打ち合わせをして、正式に見積を依頼。
見積が出てきたのは10月。
やはり高かった。
ここからさらにコストを下げるには、
自分で発注する工事、自分で施工する工事を増やすしかない。
理由は単純で、
セブンにお金がかかるから。
ゴールはガレージ小屋を作ることではなく、
セブンと暮らすことだからです。
というわけで、
- シャッター工事は別発注
- 玄関ドアは自分で発注して、自分で施工
という方針に切り替えました。
これでも自分には高い。
でも、昨今の物価上昇を考えれば致し方ない。
工務店だって多少は余裕を見ている。
ここから細かく粘って絞っても、
お互い気持ちよくないと思いました。
何度かやり取りをして、
金額に納得できたのが11月。
その間に、大工さんの現場に伺って、
少し打ち合わせさせてもらったこともあります。
■ そして、セブン購入という大きな決断
この期間中に、
セブンの購入という大きな決断がありました。
(これは【セブン編】【第3話】「房総で決まった日」をご覧ください。)
店長さんとの打ち合わせのとき、
「実は買っちゃったんだよー」と伝えると、
店長さんは一気にやる気になってくれました。
「これが入ったガレージ小屋、見たいですね〜」
そう言ってくれた。
見積書には、
店長さんの直筆の手紙が添えられていました。

年齢ではなく、人間性なんですよ。
人と人が仕事をするんですよ。
この年になって、
自分の年の半分にも満たない人に教わった気がしました。本当に。
■ そして契約へ
その後、正式に契約。
工事監理者は私。
設計も私。
つまり、
図面と工事の可否の判断の責任は私にあるということ。
握手をして契約が成立しました。
契約の際、店長さんはいろいろ話してくれました。
「私だから契約した」と。
世の中にはいろんな人がいる。
- お金を払えば、すべての責任は受け取った側にあると思う施主
- 少しでもミスがあれば癇癪を起こす人
- 図面通りにやれば間違っていても責任はないと思う業者
確かに言い分は分からなくもない。
でも、自分はそんな関係でやりたくない。
店長さんやお店の方は、
そういう人たちではない。
だから契約できた。
若くして店長を任され、
学ぶことも多い中で、
以前こんな話を聞いたことがあります。
「父親の会長から、早くどこかで失敗しろと言われているんです。」
この現場では、
絶対に失敗させたくないと思っています。
次は、いよいよ、工事が始まります。【ガレージ小屋編】【第10話】着工ーー図面が、現場のかたちになっていくーー基礎立上りまで

